主婦だって恋をする
折れたヒール

「なんで、16時……?」


私は電話を切ってから首を傾げる。


よく考えたら、あんなにふてぶてしかった彼がお詫びとか言うのもなんだか嘘っぽい。

一体何を企んでいるんだろう……


時計に目をやると、まだ14時前。



「とりあえず、お茶でも飲んで落ち着こう」



さっきみたいに彼のペースに乗せられないように、大人の余裕を見せなくちゃ。


私はゆっくり紅茶を飲んでから、少し崩れたお化粧を直して忌まわしきあのドラッグストアへ向かった。




――もうすぐお店の前…って所で、ねぇと誰かが私を呼ぶ。


振り返ると、そこには私服姿の……彼。



「やっとバイト終わったー。お腹すいたから、何か食べいこ?」


「…………は?」



聞き間違い?なんで、私がこの子とご飯……



「お詫びするって言ったじゃん。なんかおごる」


「べっ…別にそんなのいいわよ。反省してるならそれで…」


「俺がよくない。ねぇ、パスタ好き?」



駄目だ、話が通じない…



「私、帰らないと……」


「えー?せっかくお化粧直してきたのに?」


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