恋愛の条件
2.条件の再設定
その日、広瀬奈央は朝から不機嫌だった。

いつもは完璧にきまる巻き髪も雨のせか上手くいかず、その雨のせいでお気に入りのパンプスもずぶ濡れになった。

出社早々ストッキングを履き替えるはめになり、始業ギリギリでデスクにつく。

いつもは、始業10分前にはデスクにつき、パソコンを起動させる間にゴディバのチョコレートフレイバーのコーヒーでゆっくりするのだが、今日は慌ててパソコンを起動させ、デスク上に貼られた営業からのポストイットをチェックする。

こんな時に限って、朝一でしなければいけない仕事が書かれている。

あぁ、もうっ、と心の中で舌打ちする。

特に月曜日の朝は気持ちをビジネスモードに早く切り替えたいが、中々起動しないパソコンが、彼女のイライラを加速させた。

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