ランデヴー II
【first love】

＜降って湧いた恋＞

「それでさぁ、私が『仕事なんだからしょうがないんじゃないですか？』って聞いた訳。そしたらダーヤマ、何て言ったと思う？」


「え、何て言ったの？」


「『あなたに言われたくないんだけど』って！ そう言ったの！ マジでぶん殴ってやりたくなった」


ガヤガヤとたくさんの人達が会社帰りのお酒を楽しむ居酒屋で、みっちーの可愛い声はかき消されることなく良く通る。


その時の怒りを再び思い出したのか、拳をギュッと握り締めてわなわなと震えた。



いつもながら、みっちーの話はすごい。


彼女は気が強いから、そうやって社内の人とぶつかることはしばしばあるようだ。



だが、今話に上った山田さん……通称『ダーヤマ』とは、特に仲が悪い。


仕事をしない上に自己主張ばかりが強くて話にならないと、いつも愚痴っていた。



「ゆかりは？ 気の弱い例の女子、どうなった？」


「あぁ……相変わらず、かなぁ」


気の弱い女子、とは。
以前隣の席で私と並んで仕事をしていた倉橋君と入れ替わりでやってきた、女性のことだ。
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