蜜色トライアングル ~Winter Blue
二章

1.兄の想い人




ある日の午後。

木葉は凛花とともに繁華街のレストランで食事をしていた。

和洋折衷のそのレストランは若い女性に人気で、二人も30分待ってようやく入店できた。


「なんか、暗いわね。どうしたの?」


凛花は味噌グラタンをつつきながら木葉を見る。

木葉ははぁと息をつき、この間あったことをざっと凛花に話した。


一通りの話を聞き終わった後。

凛花ははぁと息をつき、肩を竦めた。


「……ようやく思い出したのね、あんた」

「凛花ちゃんも知ってたの?」

「当たり前でしょ。でもまあ、これでようやく正常な状態になったって感じね」


凛花はスプーンを置き、付け合せのサラダをフォークでつつく。

木葉も和風ドリアを食べながら凛花を見た。


「……で。冬青や由弦は何か言ってきた?」

「由弦は……まだあれから会ってない。でも、お兄ちゃんは……」


木葉は言いかけ、口を噤んだ。

あのホテルでのことを言うのは、相手が凛花でもさすがに憚られる。


「お兄ちゃんは、これからも私のお兄ちゃんでいるって、言ってくれた」

「……へー。そうなんだ」


< 28 / 137 >

この作品をシェア

pagetop