英国喜劇リトレイス
7 死境


すぐにレイモンドとエルヴィスに話をつけ、俺は出発した。


だが……


「なぁんか物々しいな…」


イアンは後ろを振り返り、半ば呆れ気味に呟いた。

「……私、嫌い。こういうの」

セルマは普段の無表情から更に機嫌を傾けて同意。

「ねぇ、どうにかして」

二対の目がじろりと呟きを無視し続けている俺に向く。
ちょっと怖いよ二人とも。

無言の圧迫に堪えられなくなった俺は、大きくため息をついた。

「……俺に言うな。文句ならレイモンドに言えよ」

< 177 / 409 >

この作品をシェア

pagetop