《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
八巻*愛する理由
白く細い花奏の首筋にゆっくりと俺は普段、隠し込んだ牙を突き立てた。


他人の血を啜ったのは初めて。
俺の躰は彼女の血を欲した。


彼女の血は上質な甘い味の赤ワイン。


俺は堪能してしまい、花奏の顔から血の気が引いていく。



その上、花奏の首を噛み千切る深さではないが、噛み痕を深く残した。


「・・・」


花奏は自分の手で噛み痕を塞ぎ、


そして、静かに瞳を閉じた。


一瞬、花奏の躰は、白いオーラに包まれる。




「大丈夫…私には少しだけ回復の力があるから…これくらいの傷なら…」



花奏は俺に笑いかける。













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