誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
第三会議室にて


今日は朝からロクな客に当たらない。



「返品したのに、まだ返金がないのはどういうことや!玄関で待ってるさかい、今すぐに金持ってこい!!」



朝一早々、サラ金の取り立て屋まがいの関西弁でまくし立てられたのは、お金もないのに注文を繰り返す返品の常習犯。



二番目の客は、セレブ気取りのクレーマーマダム。



ざぁます口調で一方的にしゃべりまくること三十分。質問に答えようと、おずおず口を挟むや、



「あなた、ちょっと人の話を最後まで聞きなさいよ!!」



と、ヒステリックにキレられた。



「若松でございます。ご注文でございますか?」



何とか気を取り直し、次に電話をとったら、



「ハァハァハァハァ…わ、わ、若松さんが履いてる、パンティは何色?」



「…ご注文でなければ切らせて頂きます」



ツー。



深いため息が出た。




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