ショコラ~愛することが出来ない女~
7 資格があれば
 
 翌日以降、庄司くんは何事もなかったように私に接した。

仕事上では関わり合うけれど、それ以外では全く合わない。
もちろん電話やメールも無し。

それでいい……はずだったのに。

押された後引き下がられるとなんでこんなに気になるんだろう。


でも、自分から「奥様とはどう?」とも聞けない。

生来の意地っ張りはこんな時にも存分に発揮されるのかと思うと物悲しい。


 結局、上司と部下という関係を崩すことなく年は明け、辞令と共に私たちは同じ部署に配属になった。

私と森宮ちゃん、そして庄司くんをメインとした、新・『EAST WEST』編集部は、他に数名の若手編集者を交えて活気を増した。

私が提案し、森宮ちゃんと庄司くんにまとめてもらっていた企画も順調に進み、今日はWebサイトの方を担当してくれるシステム会社との打ち合わせ。

担当は庄司くんになるのだけど、一度責任者として顔を出しておかねばならない。

何度か打ち合わせに赴いている庄司くんは、彼らと良好な関係を築いているらしく、打ち合わせは終始和やかなムードのまま、それでもこちらの要望などはきっちりと伝えてくることが出来た。
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