月とバイオリン
レディ・リースのお茶の会


 お茶の用意が整い、各自がカップを持った時になっても、シェリーは眠そうなままでいる。

目に精気が薄く、肩は落ちて覇気がない。

時間担当の先生たちに次々に注意をされながらも、ペースを崩さずほぼ眠っているような状態だった一日中。朝は大変元気な様子だったけれど、お昼前には力尽きたといった感じで、ここまで連れてくるのだって、私が手を引いて来なくてはならなかったほどだった。


こんなお客様では、招いた私、エリザベス・ローダーディルとしてはやるせない気持ちが生まれて来るのを押さえ付けることが難しい。

保護者たちの出発や本人の転居でばたばたしていたために、私のお茶に来てくれるのは久しぶりなのだから、濃い時間を過ごすことを期待してしまっていたのは当然だろう。
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