逢いたくて
前進

心の幅

「咲…俺の話しも聞いてくれる?」

渉の穏やかな声に顔をあげるとやっぱり穏やかな顔の渉がいた

「咲をあの土砂降りの公園で見つけた時、あの頃俺すごく荒れていてさ。誰彼構わずあたりちらしてたのに、咲がすごく気になった。心配した。だから一度通り過ぎたのに公園に戻ったんだ。」

「……」

「近づいてみたら過呼吸になっていたから、いちを医者だしどうにかしないとって思った。自分の家も近いし…。」

「……」

「咲が眠ってから咲の荷物を乾かすときにエコーも見たよ」

そうだった…

あの時机に乾かしてくれたバッグの中身が置いてあってそこに超音波写真もあった…

「医者だから咲が妊娠していないことはわかるし、週数や、エコーの枚数で察しはついてたよ」

えっ…渉は知っていたの…?

「俺…結婚までいきそうだった彼女との間に子供ができたって言われたことがあったんだ…。その時に流産したっても言われた。俺と結婚するためについた彼女の嘘だったんだけどさ。妊娠も流産も…」

「……」

「真実を知るまで俺は自分を責めたよ…。なんで守れなかったって…。だから…自分を責める咲を放っておけなかったのがきっかけだった。放っておけないって思いからどんどん咲を好きになって守りたいって思って…どんどん変わっていった」
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