やわらかな夜
1―“それ”を拾った日
店内を流れるのは、ジャズのオーケストラ。

この曲の名前は…何だったかな?

曲名は思い出せなかったけど、仕事で疲れた俺の躰を癒やすのには充分だった。

――タン…!

俺は飲み干したグラスを勢いよくテーブルに置いた。

「――クッソ…」

グラスの持ち主である俺はの心は惨めな思いでいっぱいだった。

――赤ちゃんができたんだ

今日の昼休み、女上司から告げられた言葉が俺の頭の中を離れない。

――あなたじゃなくて、旦那の子供が

「――セックスレスじゃなかったのかよ…!」

毒づくように呟いた、自分の性格が嫌になる。

俺は何でわざわざ、しかもご丁寧に避妊なんかしたのだろう?
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