『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
6 キッチンは危険地帯
≪葵side≫
あくる日、目を覚ますと潤くんは既に起きた後。
急いで起きてリビングへ行くと、お姉ちゃんが仕事をしていた。
「お姉ちゃん、もしかして徹夜?」
「葵?今、何時?」
「ん?6時30分過ぎた所だけど?」
「ぎゃぁぁあ~~!!この原稿7時までなの!!悪いけど集中するから話し掛けないで!!」
「じゃあ、1つだけいい?潤くん見なかった?」
「あぁ~さっき、ジョギングに出掛けた」
「ジョギング?」
「ごめん、もういい?」
「あっ…うん……ごめん」
私はお姉ちゃんの仕事の邪魔をしないようにそぉーっとキッチンへ。
お姉ちゃんにコーヒーを淹れ、朝食の準備をした。
楓さんの様子を窺おうと部屋に行くと、
ドアには『Don't wake me!』の札が。
多分、締め切りに追われて徹夜だったのだろう。
私は物音を立てず、静かにキッチンへと。