秘密の時間
秘密の気持ち


週明け、重たい足を引き摺る様に会社へ向かう。



あの別れ際の部長の横顔、後ろ姿がチラついてとても部長には近付けない。


仕事中の部長はいつだって大人で、みんなを見守る温かな眼差しが印象的。


でもあの晩は違った。部長は淋しく微笑んでいた。



その表情を思い描いては自己嫌悪に陥って、ため息ばかりが零れ落ちた。



「どうした?元気ないな」


休憩室で少し遅いお休みをしていると、小山課長が声を掛けてくれた。


「あっ、課長…。

今休憩ですか?」

「まぁ、そんなとこかな?えーと、中村さん、だっけ?」

「はい、中村美優です」

「中村、みゆう?」


小山課長の声が裏返る。


それに私もびっくりして課長に視線を移すと課長の視線と絡み合う。



「そっか、美優ちゃんねぇ」


なぜか意味深に私の名前を呟く課長。


そうかと思えば、すっとスマートの動作で自販機に硬貨を落としコーヒーを手にしていた。



「美優ちゃん!」

「……」


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