愛と欲望の螺旋(仮)
戻るべきところ
自分のアパートに帰ろうとしたまでは良かった。
だけど、重大な問題が発生。
携帯もアパートの鍵も。
財布さえ置いてきてしまった。
もう10時を回っているし。
不動産会社も大家さんも連絡つかない。
泉希の所に泊めてもらいたくても、携帯もない。
電車に乗りたくても財布もない。
ここから動けない。
動くためには、黒崎の家に戻らなきゃいけない。
途方に暮れ始めていた。
これからどうしたらいいだろう?
もうすぐ冬が目前で。
夜になったら冷えてきたし。
ジャケットもないから。
身を縮めながら公園のブランコに座っていた。
「ハア…」
出てくるのはため息のみ。