For 10 years
片想い
それから絢華ちゃんは、週に三回バイトに入った。


シフトさえ合えば、偶然を装ってバッタリ会ってみたりとかして……


俺は小学生か?


なんつー初心者な片思いをしてんだよ。



片思い……


なぜかそう思った。


今までの女とは、明らかに違う俺への態度。


普通に、バイト先の先輩としか思っていないのだろう。


そういう態度だった。


それが確信に変わったのは……


絢華ちゃんがバイトに来てから、二週間が経った頃だった。


その日は、偶然を装ったわけでもないのに、たまたま帰りぎわにバイトを終えた絢華ちゃんとバッタリ会った。


心の中で“誘うなら今だ”と勇気を振り絞った。



「送っていこうか?」



でも……
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