For 10 years
無力
.



あのイブの日から五ヶ月。


仕事を終え、コンビニに寄って弁当を買った。


今日はなぜか料理をする気にはなれなかった。


車に乗りエンジンをかける。



♪♪♪~



とたんに鳴った携帯の着信音。


それを手にすると……


佳菜子さんからだ。


番号は知っているものの、実際かけたことも、かかってきたこともなかった。


なんかあったか?



「もしもし」


“隼人くんっ!大変なのっ!絢華ちゃんがっ、絢華ちゃんが……っ”



そう言って佳菜子さんが泣きだした。


絢華ちゃん?



「何が大変なんですか!?佳菜子さん!」



電話口でも、佳菜子さんが取り乱しているのがわかる。


絢華ちゃんに何があったんだ?


俺がどれだけ聞いても、佳菜子さんは泣くばかりで。


でも、途中から佳菜子さんの旦那さんが電話に出て……


あまりにも悲痛で、残酷な事実を告げられた。
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