家元の寵愛≪壱≫
七 夫 vs 父


由緒ある家柄、茶道 香心流 藤堂家。


お盆にお迎えするご先祖様も多く、

比例するようにご供養に訪れる人もまた多い。


初めてお会いする遠縁の方々。

私は隼斗さんと共にご挨拶を…。

慌ただしい日々はあっという間に過ぎ去った。




8月下旬――――


大学の夏休みも残り僅か。

隼斗さんも秋の茶会準備が本格的に…。



そんなある日の夜遅く…

お風呂から上がると、

先にお風呂を済ませた隼斗さんが

何やら、雑誌のようなモノを手にしていた。



「何ですか?……それ」



ベッドの上で隼斗さんの手元を覗き込むと、



「車のカタログ?」

「あぁ」



楽しそうに眺めている隼斗さん。

ホント、車が好きなんだなぁ…。


私も彼の隣りに座り、

横から覗き込むようにすると、


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