ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
シックス・トラップ

  愛、溢れる…    梓side


遼さんの温もりをしっかりと感じながら、ゆっくりと目覚める。

ドキドキして眠れないと思っていたのに、普段よりぐっすり眠ってしまうなんて……。
身体も気持ちも疲れていたから? それとも、大好きな遼さんと一緒だから?
寝起きで落ち着いていた心臓が、またドクドクと音を立てて早まっていく。
だって、この状態……。
確か昨晩は、背中側から抱きしめられて寝たはず。
なのに今は_

何で向かい合わせなのっ!?

それも頬がくっつくほど顔が近いし、手も足も私の身体に絡みついていて、身動きひとつ出来そうもない。
遼さん、私を抱枕か何かと勘違いしてない?
まだぐっすり眠っている遼さんを起こしてしまうのも可哀想だし、だからと言って遼さんが自然に起きるまでこのまま待つのもキツい。

はぁ~、遼さん早く起きないかなぁ……。

唯一自由のきく右手を上げると、遼さんの大きな耳朶をきゅっと摘む。その触り心地が思ってた以上に気持ちよくて、何度も摘んだり引っ張ったりしていると、遼さんが身を捩った。

ヤバいっ!

慌てて目を瞑り寝たふりをして右手を引っ込めようとすると、まだ寝ているはずの遼さんの左手が、私の右手を捉えた。

「夢の中で……誰かが、俺の身体を弄んでたんだけど、梓だったんだ……」

「弄ぶって……」

目を開けて遼さんの顔を見る。
目は瞑ったまま、でも顔は薄っすら笑ってる?
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