一緒に暮らそう
つり合わない女!?
 紗恵が山の町に引っ越してから数週間が過ぎた。

 老人ホームでの仕事にも慣れてきた。
 入居者の老人たちは子どものように無邪気で、時にわがままな人々だ。特に、男性入居者などは、若くて見目のいい紗恵に秋波を送ってきたり、体を触ってきたりして大変だ。時に憎たらしくもあり、時に可愛らしくもあり、なかなかどうしてクセのある連中だ。

 毎日、彼女は食堂で老人たちの食事の介助をしている。体力だけでなく気も使う仕事だ。
 正直、今は若いからいいけれど、中高年になってまで続けられるかどうかわからない。調理要員はせいぜいしても配膳までなのに、このホームでは食事の補助までさせられている。こんな雇用の仕方では、なかなかスタッフが根付かないのはわかるような気がする。

 調理場の元気なおばちゃんたちとは概ねうまくやっているつもりだ。こちらが年上の彼女たちを立てるように接していれば、向こうもこちらを可愛がってくれる。

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