久遠の花〜 the story of blood~
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『――――起きて』
誰かが、私に呼びかける。声がする方を見れば、そこからは明かりが射している。
『起きて。――そこは、危険だから』
声のする方に、手を伸ばす。すると次第に、目の前が光に包まれていき――次に目にしたのは、暗い部屋。どこなのかと思い体を動かしてみれば、私は、大きなベッドに寝かされていた。
目を凝らしせば、天井から布が垂れていて、とても豪華な作りをしている。
「ここ、って――?」
起き上がると、私は体に違和感を覚えた。触れれば、服の質感が違う。立ち上がってみると――ベッド同様、豪華なドレスを身にまとっていた。
「――目が覚めたようですね」
突然、やわらかな声が耳に入る。思わず身構える私に、怖がらせてすみませんと、誰かが近付いて来る。
「突然すみません。どうしても、あなたのお力を借りたかったものですから」
そう言い、声の主は目の前に来るなり膝を付いた。
「お初にお目にかかります。私は、王華の長に仕えている者です」
丁寧に挨拶をするその人は、私と変わらない年頃の少年に見えた。
「怯えないで下さい。あなたに危害を加えることは致しませんし、ここに、そういった者たちを入れることは致しませんから」
淡い茶色の瞳で、少年はまっすぐ、私を見つめて言う。
優しい雰囲気で話しかけてくれるから、怖い人じゃないのかと思い始めた私は、ようやく、少年に話しかけてみることにした。
「私を……どうするつもりですか?」
「しばらく、ここでお過ごし下さい。そして我らに――どうか、そのお力を」
左手を握られたかと思えば、その手は少年の口元へ持っていかれ、そっと口付をされてしまった。
『――――起きて』
誰かが、私に呼びかける。声がする方を見れば、そこからは明かりが射している。
『起きて。――そこは、危険だから』
声のする方に、手を伸ばす。すると次第に、目の前が光に包まれていき――次に目にしたのは、暗い部屋。どこなのかと思い体を動かしてみれば、私は、大きなベッドに寝かされていた。
目を凝らしせば、天井から布が垂れていて、とても豪華な作りをしている。
「ここ、って――?」
起き上がると、私は体に違和感を覚えた。触れれば、服の質感が違う。立ち上がってみると――ベッド同様、豪華なドレスを身にまとっていた。
「――目が覚めたようですね」
突然、やわらかな声が耳に入る。思わず身構える私に、怖がらせてすみませんと、誰かが近付いて来る。
「突然すみません。どうしても、あなたのお力を借りたかったものですから」
そう言い、声の主は目の前に来るなり膝を付いた。
「お初にお目にかかります。私は、王華の長に仕えている者です」
丁寧に挨拶をするその人は、私と変わらない年頃の少年に見えた。
「怯えないで下さい。あなたに危害を加えることは致しませんし、ここに、そういった者たちを入れることは致しませんから」
淡い茶色の瞳で、少年はまっすぐ、私を見つめて言う。
優しい雰囲気で話しかけてくれるから、怖い人じゃないのかと思い始めた私は、ようやく、少年に話しかけてみることにした。
「私を……どうするつもりですか?」
「しばらく、ここでお過ごし下さい。そして我らに――どうか、そのお力を」
左手を握られたかと思えば、その手は少年の口元へ持っていかれ、そっと口付をされてしまった。