もっと美味しい時間  
緊張のティータイム

綾乃さんとの対決を終え、慶太郎さんとの甘い一日を過ごした
あの日から一ヶ月__

6月も半ばを過ぎジメジメとした梅雨空の中、私と慶太郎さんは朝早くから結婚と同棲のお許しをもらうため、私の実家へと向かっていた。

昨晩は本社に来ていた慶太郎さんが、久しぶりに私の部屋に泊まり、いつものことながら熱い夜を過ごした。
『朝早く起きるんだからダメッ!!』と言っても全く聞く耳を持たない慶太郎さんに、またしても勝てなかった私は、結局何度も極みに連れていかれて……。

はい、寝不足です……。

大きな口を開けてあくびをすれば、慶太郎さんにおでこを小突かれる。

「そんなデカい口開けて、あくびするな。もっとちゃんと寝ろよ」

「…………」

ちゃ、ちゃんと寝ろだとっ!?
そんな言葉、どの口が言ってるんだっ!!
ちゃんと寝かせてくれなかったのは、慶太郎さんっ!  あなたでしょっ!!
ジロット睨みをきかせても、窓から外を眺めて涼しい顔。
もう何か、反論するのも面倒くさい。


私の実家は、栗きんとんが有名な街にある。
今住んでいるところから約100キロ。車なら休憩しながら行ったって1時間半もあれば十分。電車ならもっと早く着くというのに、年に二度くらいしか帰らない。


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