お嬢様の仰せのままに。
あたしが泣いたら抱き締めなさい



夢を見た。

まだ小さい頃。

颯と庭で遊んでいて。

ころころと、転がってしまったボールを追い掛けて。

テラスで話してた、お父様とまだ生きてた頃のお母様。




―「だから、俺は娘なんかいらなかった」




あたしを追い掛けてきて、その話を聞いてしまったであろう颯。

気づけばあたしは、颯に微笑んでいた。

颯は、何度も「大丈夫」と言って。

小さな体で、あたしを抱き締める。



< 39 / 81 >

この作品をシェア

pagetop