《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
④中川真澄〜小銭の男〜


「三村さんとか言いましたっけ? こんばんは、奇遇ですね。はははっ」

名前なんか覚えてもないと言いたかった為に、わざと違う名前を出してみる。

「だれが、三村なんだよ。三浦だよ、ったく頭も悪いのかよ」

くーーー、頭もって何よ。

あんたの名前なんか覚えてないって言いたかっただけなのに、完全に頭に来た。

それに「頭も悪い」って、どういう意味よ! 他に悪いところがあるみたいじゃない!

戦う前から、力み過ぎてやや息切れ状態だ。

肩で息をしながら、最悪の男、三浦をガン見した。

この男、一体ここで何を?
コンビニは、色んなことができる場所だ。格好から察するに会社帰りに買い物しに寄ったんだろうか?

それとも光熱費の支払いか、宅急便か、チケットの類いを買いに来たのか?

まさか、ハナから五目焼きそば目当て?
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