アンラッキーなあたし

表の顔

午後のオフィスは気だるさとオヤジ臭に包まれている。

一体、どうやったらあんなにも刺激臭を体中から噴出させることができるのだろうと、あたしは、さっきから向こうの席に座る内田部長を盗み見ながら、そのことばかりを考えていた。

要は暇なのだ。

「ねぇ、あんた」

刺激臭の張本人である、ハゲでガリガリに痩せた内田部長がしわがれた声であたしを呼んだ。

「ねぇ、あんた、ぼさっとしてるなら、これ、コピーして」

振り向けばコピー機という、誰よりもそれに近い場所にいがら、内田部長改め、ハゲは当然のように顎をしゃくりあげた。

あたしは無言で頷くと、のそのそと自分の席を立ち、ハゲから渡された書類をハゲの背後でコピー機にかけた。