月夜の翡翠と貴方
第五章

綺麗、手、最後の一瞬まで




出会いが突然だったように、

別れもきっと必然であり、

悲しいくらいに、突然。


どうか、どうか。

この旅路の終わりまで。

最後の一瞬まで。


その笑顔で、


貴方がくれた名前を呼んで。







気づけば、朝になっていた。

洞穴を照らしていた月明かりが、太陽の光になっている。

ルトに抱きしめられたまま、ふたりして寝てしまったらしい。

見上げると、綺麗な寝顔が見える。

…疲れているんだろう。

態勢が態勢なだけに、私が動くと起こしてしまいそうだ。


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