キスマーク
彼女の過去




翌日は金曜日。


日付が変わるまでには帰宅して、帰宅後はシャワーを浴びて直ぐにベッドに入ったものの何時にも増して辛かった起床。


その理由が一日で2回も頑張ってしまったせいなのか、週末ということで普段の疲れが一気に出たからなのか、どっちなのかは謎だけど……


身体はダルイけど、出社の仕度はキッチリしないといけない。


肩よりも少し長い黒髪にヘアアイロンをかけて、毛先は内側にカールをかける。サテンストライプのブラウスにベルト付きのタイトスカートが今日のファッションコーデ。


入社から居住しているマンションを出て最寄駅へ向かう。


満員の通勤電車に揺られ、降車後は改札口まで人の波に流される。行き交う人の群れの中を歩き、駅を出て―…向かう先は大学卒業後から勤める、大手に分類される商社。


その商社で私、鈴原詩織(スズハラシオリ)は総務部秘書課に所属している。



制服に着替える為、更衣室へ入り、



「おはようございます」



と、朝の挨拶をしながら自分のロッカーへ。


と、



「ただでさえ金曜日は仕事に気合いが入っちゃうけど、今日は尚更だね」



そう隣りから小声で声をかけてきたのは麻里。昨夜、ヒロといる時に電話をかけてきた同僚。


直ぐに明日の合コンが“気合い”の原因だと悟る。



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