不遜な蜜月
結婚×疑惑

授業参観に、両親が来たことはない。

誕生日に家族が揃うことなど、稀だ。

クリスマスのプレゼントを開けるのは、いつも一人。

無駄に広い自宅は、大抵家政婦と自分だけ。


両親は仕事で忙しいから、仕方ない。

それが自分の当たり前で、何と言うか、受け入れていた。


家族って、なんだろう?

父親は、どんなふうに自分の子どもの名前を呼ぶ?

母親は、どんなふうに自分の子どもを抱きしめる?


幼き日々の記憶を辿れども、もやがかかったように答えが見えない。


面倒事は、昔から嫌いだ。

特に、勉強や仕事と違う、感情を踏まえた面倒事というものが。

自分の心は未だ、多くのことを消化できていないのだろう。

妊娠。

結婚。

本当に、いろんな事が重なり過ぎている―――。


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