恋の扉をこじあけろ
幸宏



「冬実ー、こっちこっちー!」


「お待たせー!」


こじゃれたレストランの中で、髪を一つに束ねた綺麗な女性が冬実に向かって手を振った。


冬実が所属しているサークルの友人らしい。


名前はゆかり。


初対面のわたしにも、ゆかりはにこやかに手を差し出してきた。


ゆかりの隣には彩香という、おとなしそうな子が座っていて、恥ずかしそうにしながら彼女もわたしに挨拶してくれた。


「今日は女はこの四人だよ。男性陣はもう少ししたら来るはず…、あ、来た来た」


「こんばんはー」


ゆかりの手招きに気づいた男たちが、わたしたちのいるテーブルまでやってきた。


わたしは緊張しながら近づいてくる彼らを眺めていたけど、その中の一人を見て凍りついた。


固まるわたしの隣で、冬実がげっ、と声を漏らした。


向こうもわたしたちに気づいたらしく、目を見開きながらわたしたちの前に立った。





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