キスマーク
抜け出したい彼女




「お見合い、ですか?」


「ああ。鈴原さんにお付き合いしている男性がいなければ、どうかなと思ってね」



夏の休暇を終えて出社し、何時もの様に役員にコーヒーを出していると常務からいきなり振られた見合い話。



「私に病院経営をしている知人がいるんだが、その知人の次男でね。今年で三十六歳になるんだが全くそういった気配がなくて。本人が、というよりも知人が気にしていてね」


「はぁ……」


「まぁ、見合いと言っても堅苦しいものではないんだよ。先ずは二人で会って食事でもしてみないかね?」



ついにこの手の話が私にも、と思う。


確か、今度寿退社する後輩の葉山さんも常務の仲介で結婚することになったんだっけ。



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