上司と上手につきあう方法【完結】
複雑な恋心

オフィスを離れた非日常


作っていたパワーポイントの資料を閉じ、webで検索して見つけた「オフィスで出来る腰痛緩和のストレッチ」画面を開く。

図解イラストを見ながらウエストをひねっていると、

「あいたたた……」

思わず情けない悲鳴が口から漏れた。



「――最近そればっかりだけど……週末、温泉でも行く?」



そんな私を見て、紗江子が苦笑する。


ああ、温泉……。なんて素敵な響きなんだろう。


彼女の言うとおり、最近体がなまっているというか、デスクワークのせいか、体が重くて仕方なかった。



「いいねえ、温泉……行きたい」



男なんかいらない。癒されたい……。


半ば本気でうなずきながら、私は10メートルは離れている、フロアの奥に視線を向ける。



< 109 / 361 >

この作品をシェア

pagetop