もっと美味しい時間  
大きな愛とプラリネに包まれて…

慶太郎さんと一緒に暮らすため、完全に引っ越しを果たした先週の土曜日。
これから始める新しい生活に、心もウキウキな気分で慶太郎さんがいる部屋にやってきたのに、そこにいたのは見知らぬ女性。

しかし、意気消沈の私に投げられた言葉は───

『コイツは俺の妹の明日香』

なんだぁ、妹さんだったのか……と安堵したのも束の間、どうやら彼女に歓迎されてないようで……。
またまたちょっと落ち込んだんだけど、私に暴言を吐いて部屋から飛び出していった明日香さんを、何故だか追いかけてしまった。

近くの公園で彼女を見つけて、いろいろ話をしたんだけれど……結局特に進展なく、それどころか急に激しい腹痛に襲われて意識を失ってしまった。

「それで、あれからお腹が痛むことはないの?」

「うん。全く痛くないんだよね」

二日後の月曜日。
今は、美和先輩と一緒に引越しのダンボール等を開いて、片付けの真っ最中だった。

もちろん平日だから、慶太郎さんと京介、綾乃さんは会社に出勤。
明日香さんは『また週末に来るから』と慶太郎さんの携帯にメールを送ってきて、日曜の朝には東京に戻っていってしまった。

「それにしても百花と慶太郎さんには、次から次へと問題が湧いてくるよね」

「そんな湧いてくるなんて……。虫が発生するみたいに言わないでよ」

私だって、好きで問題を引き寄せているわけじゃないんだから。

それにしても明日香さんとのことはどうしたら良いのか、さっぱり検討がつかない。
ただ単に友達になるのなら簡単なことだけど、身内に、義理の姉妹になるとなるとこうも話しがこんがらがるものなのかしら……。

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