お嬢様になりました。《番外編》
★日本語通じてるよね?
「ふぁー……」

「お前なぁ、欠伸する時は口隠せって何回言えばわかんだよ」

「あーもう、ごめんごめん」



隣の席で頬杖をついている隆輝に、こうして注意を受けるのはいつもの事。


欠伸くらいで煩い奴。


晴れて私たちは彼氏彼女の関係になった。


でも、以前となんら関係性は変わってない。


ハワイから帰って来てからは、手は繋ぐものの、キスも無ければそれ以上もない。



「葵の欠伸姿は可愛いよ」

「お前は黙ってろよ!!」

「余裕のない男って嫌だね」



玲が涼しい顔で微笑み、私の髪の毛を一束掬い上げた。


本当、王子様だよねー。



「気安く触んな」



隆輝が身を乗り出し、玲の手をバシッと払いのけた。



「うわっ」



いきなり後ろから抱きしめられ、情けない声が漏れてしまった。


皆が見てるって!!



「本当に仲が宜しいですわね」



芽衣は私たちを見て、優雅に笑みを漏らしている。


何を呑気な!!


よく見て!!


隆輝と玲、メッチャ睨み合ってるから!!



「静かにしろ」



相模先生が教室に入ってきて、隆輝の体が離れた。


心臓……ヤバかった。





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