幸せの掴み方
離婚と再出発
「そうだよね・・・・私がしっかりしないと・・・・菜々美も、
 お腹の子も、幸せにはなれないんだよね・・・・・」

柚葉は、涙が零れるのを抑えられずに、湊に話始めた。

「圭祐とは、会社で知り合ったの・・・・・
 最初は、仲の良い先輩として接してくれていたんだけど・・・
 あることを切っ掛けに、 私から告白して、付き合うようになったわ・・・
 それから圭祐の家の事があって、圭祐は転職して、お義父さんの会社に
 入って、頑張っていたの・・・
 それから私に菜々美が出来て、圭祐は結婚しようって言ってくれたの・・・
 だけど、所詮、私は庶民だし、こんなでしょ!お義母さんは、反対
 されて・・・・それでも圭祐は私と結婚してくれて・・・・
 幸せだと思っていたんだけど、この間、圭祐の秘書って人が、家に来て
 『圭祐は、自分と一緒になるんだから、離婚しろ』って・・・・
 その翌日には、写メで圭祐とその女性が、裸で抱き合ってベットに
 入っている写真が送られてきて、圭祐がもし本当に、彼女が好きなら、
 私は圭祐の幸せを奪っているのかな・・・なんて考えていたの・・・」


「それは、旦那に聞いたのか?」

「ううん、聞く勇気が出なくて・・・・
 圭祐は、元々小さい頃からの環境のせいで、『人を好き』っていう
 感情が、欠けているらしくて、私は、付き合っていたころから
 『好き』だとか、言われたことがなかったの・・・・
 だから不安だった・・・・私が、妊娠したから圭祐を不幸にしている
 んじゃないかって・・・・・
 元々、好きだって言われたことがないし、私は、自分に自信もないし
 容姿だって普通でしょ。
 付き合っている頃から、周りの女性から釣り合わない! 別れろ!
 って、よく言われてたわ・・・・・フフフッ・・・圭祐は、
 私には勿体無いくらいの人なのよ・・・・」

「柚、それは違うぞ!!
 お前は、良い女だ。旦那は、柚が側にいたから、今の地位があるんじゃ
 ないのか!?
 それに、菜々美や柚の事は、大切にしていたんだろ?」

湊の言葉に、柚葉は、小さく頷いた。
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