青い猫の花嫁
トワと雨と猫



見上げた空には、何層にも折り重なった灰色の雲が、今にも雨を落としそうだった。
そこに、今日何度目かの溜息が零れ、真っ白な息が浮かんでは消えていく。



「はあ……」



トワがあたしの目の前に現れてから、2週間ほどがたった。

正宗さんが言ってた、来年の元旦って……そんなにトワと暮らすの?
……耐えられない……。



「どうしたの? 真子ちゃん、すっごく疲れた顔してる」

「え? そうかな……」


ヒョイっと覗き込んできた爽子。
あたしは自分の頬を両手で挟んで、思い出しそうだった顔を抑え込んだ。




「藍原くん?」

「な、なな、なんでトワ?」



抑え込んだはずの顔が頭の中に現れて、ガバリと顔を上げた。



「ふふふっ、ほーんと。真子ちゃんってわかりやすい」

「……」

「何かあったの?」



爽子がグランドに視線を向けながら、楽しそうに言った。
同じように爽子の視線を追う。

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