The side of Paradise ”最後に奪う者”
4.ひきだし

  *

自宅の書斎の机の中からポラロイド写真をみつけた。


「暁子」


自然に名前が口から出た。

水が湧き出るように、記憶が戻る。

プロポーズをした相手。

断られたが。

懐かしい。

涼は口元がほころぶのを感じた。

また一つ、あぶくが弾けるように記憶が蘇る。

いや、でもあの後、NYで会っている。

ホテルのロビーのようなところで。

追いかけたのだろうか。

諦めきれなくて。

でも自分の中の感覚では、いい思い出になっている。

訳がわからなくて、涼は少し眉根を寄せた。
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