糖度∞%の愛【改訂版】
糖度20%

「カーボカウントってどうやるんですか?」

彼方と付き合って、早くも一か月が経った。
素をすでに見せているから気負わなくてもいいし、病気を最初からある程度理解してくれているからとても楽だ。

最初に思った通り、私はどんどん彼方に惹かれていた。
それは彼方の容姿とか外見的なものじゃない。そんなの彼方が入社してきてからずっと、飽きるくらい見ていた。そんなんじゃなくて、付き合ってから一か月も経つのに、こうやって、私の病気のことについて自発的に色々知ろうとしてくれる、そういう優しさと真っ直ぐな想いに惹かれていく。


「食べるもの全部の炭水化物量をざっと計算して、それに合わせたインスリン量を計算して注射するのよ。」


カーボカウントは、詳しく説明すると自分でも分からなくなるくらいだ。だから簡単に説明したのに、「どう計算してるんですか?」と彼方は突っ込んで聞いてきた。

私と同じで、一度疑問に思ったことは、納得いくまで追求しなくちゃ気が済まない性質(たち)なんだろう。彼方は、手に持ったグラスをぐいっと傾けて飲み干しながら、私の答えを待っている。
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