同期が急に変わったら…。
ん?
東亜の会議室で、
エロオヤジ、じゃなくて。



専務との商談を終えた。





10畳ほどの狭い会議室でも、

壁は細かな板張りで、高級感がある。




会議室と言うより、応接室のようだ。





商談していると、

専務の東亜での存在感が充分に伝わる。

エロオヤジでも、

仕事ではやはり『専務』なのだ。





多少の緊張感はあったけど、

しっかりと説明を出来たと思う。





将生から預かった書類を見せながら、

スラスラ言葉が出た。

とにかく将生の書類はわかりやすい。

こんなの作れる将生は、

やっぱりさすがだ。











『では、よろしくお願いします。』




深々と頭を下げて挨拶をする。




さっきまで、向こうにいた専務。


頭を上げたら

すぐそこにいた。




いつの間に。

また、セクハラしようってか?





『桐谷さん、お疲れ様。
どうだ、今晩飲みにでも。』




と、言いながら私の肩にじっとりと

手を乗せる。






その肩の手を退けてもらえます?

キモいんで!




……とは言えず。

ニッコリ笑って、明るく話す。




『申し訳ありません。
この後、まだ仕事が残ってまして。』



営業スマイル、全開。



『そうかあ。残念だなあ。
次こそは、付き合ってくれよ?』

『はい、是非。』



……って、オイ!!

お尻、撫でてるじゃん。

やり過ぎでしょ?

やめんか、コラっ。




『では、失礼します。』





早く帰ろう。

ムカつく、気分悪い。





『あー、藤森くんにも
よろしく伝えてもらえるかな。』

『はい、お伝えします。』






なんじゃ、エロオヤジ。

夢の中で思いっきりシバく。

けっちょんけっちょんに。








気分を落ち着かせながら、

会社に戻った。








また言っちゃうけど、

将生が不在のオフィス。





オフィス内では

まだパソコンの画面に向かって、

カタカタやってたり、

中には、もう帰宅する社員。





私は、といったら

残っていた仕事を終えたら、

オフィスには誰もいなかった。





窓の外はもう真っ暗。






一人きりのオフィス。

し〜ん、という音が聞こえそうな程

静まりかえっている。




時々遅くなっても

必ずと言っていい程

将生がいてくれる。





帰りに食事を奢ってくれたり、

マンションまで送ってくれたりもする。






一人ぼっちか……。




なんだか寂しくなってくる。

誰もいないオフィスって、

孤独感で、妙に切ない。






『はぁー、帰ろう。』





椅子に座ったまま

ぐ〜んと背伸びをした。




将生って、

いつもこんな感じで仕事してるんだ。

いつも、

最後まで残ってるんだろうなあ。






将生、やっぱりすごい。




かなり努力家なんだよね。

やっぱり尊敬できる。





将生、

出張、どうだったかな。

今頃、ホテルに入ったかな。

ご飯食べたのかな。






将生が変だから、

私の心の蓋がガタガタ動き始めて

開きそうになってる。




開いちゃだめだよ。

はあ。

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