君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
大好きな友人の幸せを守る為に、私に出来ることはなんですか?
「どうしたものか...」


橘さんが入浴中の中、私はまるで分娩室の前で出産を待つ父親のように浴室のドアの前でうろうろとしてしまっていた。


こんな時、友人として私はどうしたらいいのかしら。まずは何をすべき?
とりあえず夜も遅いし、明日から会社も休みだから今日はこのまま泊まってもらって。
...泊まってもらって、それからどうすればいいんだろう?


「...ちょっと、何やってるのよ」


「わぁっ!?たっ、橘さん!」


気付けば橘さんはもう出てきていて、普請な眼差しを私に向ける。

そんな時、


「あっ...電話だ」


聞こえてきたのは私のスマホからだった。


スマホが置いてあるテーブルへと取りに行こうとした時、なぜか私の腕を掴んできた橘さん。


「えっ?どうしたの?」


不思議に思いながらも橘さんを見つめていると、切羽詰ったような顔で私を見てくる。


「電話!...もし剛さんだったら、私達はいないって言ってちょうだい」


「えっ...」

どうして?


「いいから!!」


「はっ、はいー!」


勢いに負けそのままスマホを取りに行くと、橘さんの予想通り電話の相手は藤原さんからだった。

そういえば橘さん、藤原さんがお風呂に入っている間に出てきたって言ってたよね...?

ちらっと橘さんを見ると、すごい剣幕で私を見つめている。

そんな橘さんに恐怖とプレッシャーを感じながらも電話に出た。


「...もしもし?」


『悪いこんな夜遅くに!亜希子と光太、そっちに行ってないか!?』


電話に出てすぐに聞こえてきたのは、息を切らし普段より大きな藤原さんの声。


やっぱり...。

そりゃ心配するよね。自分が入浴中にいなくなってたら。


すぐに藤原さんに二人はここにいることを伝えたかったものの、グッとこらえる。


「えっと..橘さんと光太君、どうかしたんですか?」


私にはまだ信じられずにいた。だってあの藤原さんだよ?やっぱり浮気をするなんて信じられないよ。


『ちょっと喧嘩しちゃってな、出て行っちまったんだ。...夜も遅いし、光太も小さいから心配で。行きそうなところ探しているんだけど見つからなくて』


「えっ...。もしかして藤原さん、今探しているんですか?」


『当たり前だろ!?』


すぐに聞こえてきた力強い答え。


橘さんには悪いけど、やっぱり黙っておくわけにはいかない。





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