ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
3


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それから3日間、バイトの予定は入っていなかった。

火、水、木はわたしの学校が忙しいし、真大も大学のスケジュールが合わないんだって。


「…あー…。なんか暇だなぁ…」


目の前にいる美佐子はさっきから新作の桜貝色のマニキュアを塗っている。
話しかけたら怒られそうだし、やめておこう。

…。そっか、マニキュア…。


「きれー…」


美佐子の机の上に置いてある桜貝色のマニキュア。
控えめなパール仕様の、ピンクと紫の境目の色。大人っぽくて、きれい。

…大学生、っぽい。


「…なに、結も塗りたいの?」


わたしが瓶を見つめていたら、トップコートを塗り終わったのか美佐子がわたしの方を見ながら詰めを乾かしている。

「…いや、別にそんなわけじゃないんだけど」

「ふーん?別に塗っちゃえばいいじゃん。あ、バイトがダメ?」

「ううん、バイトはいいの。どうせメイクもするし」

「そうなの?なら良いじゃん。塗ってあげるよ」


手貸して、っと言ってくる美佐子に、左手から預ける。

ベースコートを塗り始めた美佐子を見ていると、なぜかは分からないけど、ふいに真大の顔が浮かんだんだ。


「…」


『こどもだな』


………。




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