【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
七章 焔龍の集うバー
【金獅子SIDE】
「お久しぶりっス、総長」
「最近見かけませんでしたがお忙しかったんですか?」
久しぶりに焔龍が集う店に入ると、薄暗い店の中で談笑していた仲間達が立ち上がり俺に声をかけてきた。
それに答えるように片手を上げながら店を見渡すと、奥の一角のいつもの席には時雨・玄武・白虎・青竜・朱雀の幹部らが久しぶりに勢ぞろいで座っているのが見えた。
その中の一人、白虎がつまらなそうにオレンジ色の髪をかき上げながら窓の外を見ているのに気づき思わず笑いが漏れる。
珍しい…
いつもは周りを女で囲みヘラヘラしているヤツのうって変わったこの様子は、本当に白虎なのかと疑うくらいだ。