期間限定の彼女
事実


***事実


あたしが 会社から帰ると
母は 大きなカバンの中へ
父のパジャマやタオルやバスタオルなどを
詰めていた。


「毎日大変だね」


「まぁーね
でも これが母さんの仕事だからね
今まで 父さんには いい思いも
させてもらってるからね
こんなときに返さなきゃね」


なんか…耳が痛いんですけど。。。


「そうだね」


あたしは 返してるよ!
お金でね。


「お父さんね 明日手術なんだ」


母が あたしに言った。


母は 父のことを あたしにはあまり
話さないが 手術だから
あたしに 話さなければ・伝えておかないと
と 思ったそうだ。


「悪いの?」


「病名はね 膵臓癌で
転移もしてて あまり良くないのよ」


「そうなんだ」


「父さんは あんな感じだけど
菜摘の事 すごく 心配してるのよ
だから 顔を見せてあげてくれないかな?」


母に言われて 仕方なしに
有給を取って
手術前に 会いに行くことにした。


父さんは 良くなってると思ってた
癌だとか 思ってもなかった。


複雑な心境だった。



・・・・・・


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