【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
九章 体育祭後編
人の声と埃っぽさに不快を感じ目が覚めた私は、ゆっくりと瞳を開ける。
視線を彷徨わせてみるとそこは薄暗い倉庫の中だった。
天窓から入る光のおかげで、薄暗いながらもこの部屋の状態が分かる。
ここには色々な体育用具が置かれている事から、すぐに自分の居場所が分かったのだ。
そして私の周りに幾人かの人達がいるようで…
…5、…8…---
10人くらいいるかな?
それにしても何で私は捕まったのかな?と疑問に思ってしまった。
やっぱり生徒会に近づいて欲しくない人達が、結束して私を捕まえたとか?
現在私の横たわっている場所は、体育でよく使われているマットの上で両手は後ろに縛られている状態。
手を縛っているロープは細く、これくらいなら力ずくで切れそうだな…
そう思っていたところで一人、私の傍に近づいてくる人がいる事に気付いた。