禁域―秘密の愛―【完】
3: 無垢な愛の形
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あれから、女子生徒達からの嫌がらせはなくなった。
『相当、桐谷君にキレられたらしいね。かなり、教室で騒ぎになったみたい。あの桐谷巧が、女の事で怒鳴ってるってさ?よかったね〜、瞳!』
愛ちゃんのそんな話を聞いて、恥ずかしかったけど………、嬉しかった。
どんな形であれ、桐谷君に必要とされたことが………。
まだ、 本当の嫌がらせの犯人は分からない。
もちろん時々、桐谷君のことで色々不安に思うけれど。
「ーーー綾瀬」
笑って、桐谷君が私の名前を呼んでくれる。それだけでそんな不安は全部無くなる。
恋って、凄いなぁ………。
「うんうん。確かに恋って凄いよね」
「っ、え?」
私の意識は現実に戻った。目の前には、チョコドーナツを食べながら、何度も頷く愛ちゃんがいた。
そうだ、私は久々に愛ちゃんと放課後に買い物をした。
そして、その帰りにドーナツを食べに来たんだ。
それより、私………?
「声………出てた?」