ツンデレくんをくれ!
痴話喧嘩ってことで。
「中出って、やっぱり見たまんまの奴だったわ」


あたしは中出を見つめて、正確には睨みつけて口を開いた。


「……何それ」


わずかに笑みを浮かべて中出は先に来た醤油ラーメンを啜っていた。


そんな笑みですら嬉しいと思ってしまう自分が憎らしい。


「腹減って機嫌悪いのはわかってるから、俺に矛先向けんといて」

「なんであんたがそんなこと知ってんのよ」

「前自分で言っとったやん。腹減ると機嫌悪くなるって」

「いや、これは向けたくなるわ。まさか女のあたしが奢らされるはめになるなんて」


ガソリン代と称して、大盛りのラーメン頼まれるってどういうこと。


大盛りのラーメンがっつく中出好きだけど。ていうか、中出の食べる姿好きだけど。


「あれから課題山積みで連日午前様になって、俺に送られた奴は誰やったっけ?」


そんなことをこちらをちらりとも見ずにラーメンと向き合っている中出が、今は憎らしくてたまらない。


その顔にわずかな笑みを浮かべているのもまた腹立つ。


「あたしは毎回いいよって言ってんのに、あんたが家まで車で送るのが悪いんだろうが」

「てか、そもそも午前様になるまでパソコンに向かっとるのが悪い」

「その間、あんたは他の男子とのうのうとご飯食べてんだろうが。暇人は羨ましいですねー」

「一応気使っとるのに、何その態度。襲われたら危ないとか思ってやっとるんに」

「頼んでないし。てか、そもそもあたしが襲われるような女って本当に思ってる?」

「思っとらん」

「即答されると更に腹立つわー」


三ヶ月でこんなことになってしまうとは、あたしもけっこう予想外だった。


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