愛を知る小鳥
2 突然の秘書
それからの一週間は目まぐるしく過ぎていった。
突然の異動は当然ながら総務課の中でも大きな話題となり、ましてや秘書課への異動ともあれば尚更である。
美羽に密かに思いを寄せていた者は悲しみ、専務に憧れている女性は美羽を妬んだ。

本人の意図しないところで時の人となってしまい、今日もまた特大の溜息がとまらない。


「本当に急な異動で大変ね…。何か困ったことがあったらいつでも話聞くからね?」


唯一一息つけるお昼の時間に社員食堂で由岐と向き合いながら再び溜息をついた。


「本当に信じられません。できることなら由岐先輩に変わってもらいたいくらいです…。でもそうやって言ってくださる先輩がいるのを心の支えに頑張ります」

「心の支えと言われると大袈裟だけど、いつでも気兼ねなく声をかけてね」


ニッコリと笑ってくれる由岐は友達を進んで作ろうとしない美羽にとっては本当に心の支えなのだ。大袈裟でも何でもなかった。
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