セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
ACT14*雨の中のプロポーズ

~杏SIDE~

孝典さんの言葉を信じた…




私はすっぴんの顔にメイクを施し、傘を持って雨の中へと飛び出した。
そして、アパートの前で孝典さんの車を待つ。




白い車がアパートの前に停まった。



運転席から出て来たのは孝典さん。



私たちは1ヵ月振りに顔を合わせる。





「この雨の中…待っていたのか?杏」




孝典さんは問いかける。




懐かしい孝典さんの甘く響くテノール。



でも、雨は彼の声をかき消す勢いで降り注ぐ。




傘を差していない孝典さんのトレンチコートに沢山の雨粒が模様を作る。



私は慌てて彼に傘を差し掛けた。





「杏…会いたかった…」











< 179 / 227 >

この作品をシェア

pagetop