シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
けいちゃんの浮気
「けいちゃん、いってらっしゃい」
「あぁ。行ってくるよ、彩月」


玄関先で、わたしたちはキスをした。パタンとドアが閉まり、けいちゃんは出勤する。


けいちゃんこと、仲本啓太(なかもとけいた)は、わたし仲本彩月(なかもとさつき)の旦那様。


28歳の時にプロポーズされ、結婚して今日で丸3年。


31歳になったわたしは、周りから子供について聞かれるけど、その予定はない。


だってまだ2人だけの生活を楽しみたかったし、けいちゃんも〝まだいいよ。彩月と一緒にいたい〟って言ってくれるから、わたしも納得してる。


「さてと。買い物行く準備しようかなぁ」


今日は結婚記念日だから、たくさん好きなもの作らないとねっ。


去年も一昨年も、家で過ごしたんだよね。けいちゃんが〝ずっと2人でいたいから〟って、外食はやめたんだ。


だから今年も、好きなごはんを作るんだ!


メモ用紙に買うものを書いていく。


「唐揚げ用の肉に、サラダも必要だよねぇ。あ、ケーキも作らなきゃ!」


たくさんの料理を作るのは大変だけど、けいちゃんの喜ぶ顔が見たくて頑張りたくなる。


洗濯をすませ、着替えて簡単に化粧をすると自転車の鍵を持って家を出た。
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