あたしのトナカイくん
サンタさんとお熱
「え、うそ。柚月、まだあの年下くんに返事してないんだ?」

「そうなんだよりっちゃん……」



大学内の食堂で、あたしはフォークにナポリタンを巻き付ける手を止めて、小さくうなずく。

目の前に座っている友達のりっちゃんは、Aセットのからあげを箸でつつきながら首をかしげた。



「なんだっけ、クリスマスに告白されたんだっけ。かっわいそぉ、1ヶ月以上も待たされて~」

「ううっ」



そのあたりは先日戸波くん本人にもつっこまれた部分なので、グサリと言葉が突き刺さる。

あたしはフォークとスプーンを置いて、もじもじと指先をいじりながら視線をさまよわせた。



「わ、悪いとは、思ってんのよ? ちょいちょいシフトもかぶるから、顔を合わせることだって、結構あるし……」

「じゃあ、さっさと返事すればいいじゃん。ていうかどうすんの、断るの? 付き合うの?」

「……わ、わかんない」



ぼそりと言ったあたしのせりふに、りっちゃんが「はあああ?!」と声を荒らげてからあげに箸をぶっ刺した。

り、莉津さん、こわいです……(あれ? デジャヴ?)。
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