なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
なにやってんの私【復讐計画2】秘密を探る

 萩原さんは相変わらず忙しいようで、次の日の朝、私が出勤する前には既に出て行った模様。

 起きたときにいなかったってことは、たぶんそうなんだろうという、勝手な考えだけど。

 それにしても不思議な人だ。

 全くの謎。謎だけしかない。生活行動、把握できないし、自分のことを深く言わない人だから更にヴェールにくるまれてしまう。

 でも、なぜだか惹かれている私がいるのも否定できない。

 初めてのタイプで、気になって惹かれ始めているのかもしれない。


 一体何をやってるんだろう。




『お前だけだよ』

 

 そんなこと言われたら誰だって気になってしまう。



 なんてことを考えながらバスタブに浸かってのんびりしてたら、メールの着信音が聞こえてきた。

 仕事のメールかもしれないので急いで出て、ざっと体を拭く。



 朝の光が部屋のテーブルやミラーに反射して、眩しいくらいに明るく、温かい光の束が当たり前に窓から差し込んでる。

 部屋の中は音もなく静かで、自分の歩く音しか聞こえない。空調もやわらかい。ゆったりした時間が外の喧騒をシャットアウトしているようにも感じる。

 ああ、だからホテルに住んでいるのかもしれないなって思って、

 萩原さんの心の中を少し覗けた気分になる。


 ほんのちょっとだけ。

 
「おっと、そうだメールメール」

 思い出したようにバスタオルで髪の毛をふきながら片手でメールチェックをした。
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