華は儚し
第七華 桐島園炎上

―――



此処はどこかと、

世界をほんの一部も知らない私は

誰かに尋ねました。


言葉を発せられなかったのですが、

手首と足首を後ろで一つにされているようで、

恐怖心が増していくのです。


声が出せず、

目が開けない孤独の時間が

いつまで続くのでしょうと。


気のせいか、

部屋中が暑くなってきていたのです。

一年で寒い時や、暑い時があるので、

気のせいですよね…。


圧迫感から狭い部屋に閉じ込められていました。

ここの隙間から役者の声が聞こえました。


「逃げろ!逃げろよ!

火が昇ってきたぞ!

舞台の客と役者は逃げられたぞ!」


「あとは、私たち手伝い人か」
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